武蔵野徳洲会病院

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診療科・部門案内 section

診療科・部門案内

泌尿器科

尿路結石と言っても、様々な状態があるため、当院では、2021年6月に尿路結石症24時間センターを開設しました。センター長には杏林大学名誉教授の奴田原紀久雄先生が着任されました。治療に際しては、充実した医療機器を用い、あらゆる尿路結石症の患者さまにも対応していく所存です。

尿路結石とは

尿路とは尿が通る路(みち)の事を言います。その尿路に出来た、または詰まった結石を尿路結石と言います。尿路には場所によって名前が付いていて、結石のある位置によって〇〇結石という言い方をします。
尿路結石は体にとって次の 1~3 のような悪さをします。
※尿路結石症の緊急事態へ

1. 結石が細菌の棲家となり発熱性尿路感染症(急性腎盂腎炎、急性前立腺炎、急性精巣上体炎)の原因となる
2. 尿の流れが悪くなることで腎臓が腫れ(水腎症)、痛みが出る、腎臓の機能が悪くなる
3. 1と2が同時に発症して生命に関わる重大な状態となる。

尿路結石の症状

尿路結石症の症状は主にきちんと尿が流れているかどうかで決まります。

腎臓の中や尿管の中に結石があっても尿の流れが悪くなければ症状が起きない事も少なくありません。一方尿の流れが悪くなり腎臓が急速に腫れると救急車を必要とするほどの痛みが起きます。世間で言われる“尿路結石の激痛”です。この激痛は鎮痛薬で一旦は治まるものの腎臓の腫れが繰り返すと再発します。痛みは結石の大きさによらず、尿の流れの悪さと腎臓の腫れるスピードなどによって決まります。腎臓の腫れがしばらく続くと激痛は消え、鈍い鈍痛から症状がない状態となります。尿の流れがゆっくり悪くなった場合も同様に、腎臓の腫れがあっても痛みがない状態になります。この状態で数ヶ月から数年経過してしまうと腎臓の機能が著しく低下・もしくは無くなってしまうことがあります。症状が消えたとしても腎臓の腫れが治まっているか、結石が無くなっているか確認する必要があります。

尿道や膀胱の出口で結石が詰まると尿意があっても尿が出ない症状が出ます。
まずは結石があるのかないのか正確に診断すること、どの部位のどの大きさの結石であっても体に悪さをしている状態であれば取り除くことが大切です。

検査・診断

尿路結石の診断には尿検査とCT検査が必要です。これまでレントゲン検査と超音波検査で診断していましたが、診断の正確性から現在はCT検査で診断を行うことが主流です。結石が排出されたかの診断を行うのもCT検査が有用ですので複数回の検査が必要となります。従来のCT検査は被曝量が大きく繰り返しの検査には適さない検査でしたが、結石に焦点を絞って画質をやや粗く撮ることでレントゲン検査とあまり変わらない被曝量で検査をすることができるようになりました(Low-dose CT)。Low-dose CTを使用することで被曝を抑えながら残石を見逃さず、正確な状況把握と治療選択ができるようになります。レントゲン検査や超音波検査も治療選択や経過観察の手段の一つとして併用していきます。尿検査で細菌感染を併発している恐れがないか調べます。

治療

画像診断で、自然排石が困難と判断された場合などは、砕石治療となります
砕石治療法としては、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、経尿道的尿管砕石術(TUL)、経皮的腎砕石術(PNL)、膀胱砕石術などによって治療します。

1.結石排石促進療法(MET:Medical Expulsive Therapy)

薬剤を内服することで結石を自然経過より早く排出できるようにする治療です。個人個人適した薬剤を処方します。約1ヶ月経っても排出されない場合はそれ以降排出される見込みが低くなるため、腎臓の機能障害の予防などの目的で手術治療を検討します。

2.体外衝撃波結石破砕術(ESWL : Extracorporeal Shock Wave Lithotripsy、イーエスダブルエル)

皮膚を通して体内に衝撃波を入れ、結石に当てることで治療対象の尿路結石を細かく砕いて自然に排出する手助けをします。通常1泊2日の入院または日帰りで行います。事前に痛み止めを使用します。麻酔は行いませんが痛みが強い場合は痛みがないように衝撃波の強さや痛み止めを調整します。治療対象は1治療1結石です。10mm以上の結石では治療効果が落ちることが分かっています。血液サラサラのお薬を内服されていて、中断が出来ない方には安全の関係上実施出来ません。

外来での日帰りESWLも実施しています。条件によっては日帰り治療が難しい場合もありますので詳しくは担当医にご相談ください。

3.経尿道的腎尿管結石破砕術(TUL: Trans-Urethral Lithotripsy、ティーユーエル)

尿道から細径の内視鏡を挿入し、腎(腎盂・腎杯)尿管の結石をレーザーで破砕します。取れないくらいの砂状のものは自然排出を待ちますが、やや大きめの粒状のものは一つ一つ取り除きます。通常全身麻酔下に行います。所要日数は3泊4日です。手術時間は1時間程度で治療対象結石側(右か左)の腎臓から尿管までの全ての結石を取り除けます(内視鏡で到達できない結石は治療対象外です)。治療対象となるのは20mm以下の結石で、それ以上の大きさでは2度目3度目の治療が必要となる場合があります。また尿管が縮こまっている場合には内視鏡が入らず手術が出来ない場合があります。尿管ステントというストロー状のチューブを2週間ほど体内に入れておくことで尿管が柔らかくなり、内視鏡を挿入できるようになりますので後日改めての手術治療を予定することがあります。尿管が縮こまっている時に無理に手術を実施すると尿管にダメージが及び追加手術が必要になることがあるため最善策をとっています。術後は尿管のダメージ軽減のため尿管ステントを1-2週間留置します。血液サラサラのお薬を継続内服されていても実施可能な場合があります。

手術の前に尿管ステントを入れて尿管を広げて手術を行うことがあります。尿管を事前に広げておくことでより確実に治療を行うことが出来ます。また術後の痛みを軽減したり、術後に必要な尿管ステントを省略することが出来ます。詳しくは医師にお尋ねください(TUL術前尿管ステントについて)。

Ho:YAGレーザー装置

軟性尿管鏡

硬性尿管鏡

4.経皮的・経尿道的腎尿管結石破砕術(PNL(Percutaneous Nephro Lithotripsy、ピーエヌエル)+TUL , ECIRS : Endoscopic Combined Intra-Renal Surgery、エシルス)

腎臓から尿の通り道(腎杯・腎盂)に鉛筆の太さ位の穴を開け、ストロー状の筒を入れます。ストロー状の筒から内視鏡を入れ結石を割って取り出します。ストロー状の筒は尿管よりも径が大きいためよりTULより大きな砕石片を取り出すことができます。そのため治療対象となる結石の大きさや位置に制限はありません。

従来行っていたPNLでは入り組んだ構造の腎臓内部(腎盂・腎杯)をくまなく探すことができなかったため結石を残してしまうことがありました。また腎臓内部をよく探すためにストロー状の筒を上下左右に動かすことで腎臓を傷つけて出血させてしまうことがありました。当院ではTULを組み合わせることで腎臓内部を隅々まで観察しつつ腎臓を傷つけずにPNLを行うことができるPNL+TUL(ECIRS)を行っています。腎臓を傷つけにくいので術後に必要なチューブを減らすことが出来、従来よりも痛みが少ない治療を提供できます。また大きな結石でもECIRSを行うことで短い治療期間で完結することができます。

通常所要日数は5泊6日です。全身麻酔下に実施します。チューブが必要ない状態で終了できた場合入院期間の短縮も可能です。血液サラサラのお薬は通常中断頂く事にしていますが継続いただきながらの治療も場合によって可能です。詳しくは担当医にお尋ねください。

尿路結石ができる原因と予防

尿路結石症は遺伝や体質、食生活によって出来ることが多いですが、中には背景に別の病気が隠れていることがあります。結石が体外に排出された場合はその成分を分析し(結石分析)、治療や今後の予防のために役立てます。

生活習慣病と呼ばれる高血圧・高脂血症・糖尿病・高尿酸血症をお持ちの方については通常より尿路結石を発生・再発しやすいと言われています。詳細な原因は不明ですが余分な塩分・糖分を排出する過程で結石が出来やすくなってしまうようです。現在生活習慣病をお持ちでなく尿路結石をお持ちの方も将来的に生活習慣病になりやすいと言われています。やはり両者は密接な関係性があるようです。尿路結石症を予防できる具体的な数値目標については未だ明らかになっていませんが、減塩や糖分を控えることは重要です。また生活習慣病と同じく適度な運動も予防に役立つと言われています(寝たきりの方は尿路結石になる方が多いです)。また特徴的な予防法としては多めの水分摂取(有効なのは1日2L以上)が予防に有効であると言われています。

以上の事に気をつけていても体質的に再発しやすい場合があります。再発の程度によっては体内環境を結石の出来にくい環境に整える薬をご内服頂くことがあります。内服頂くことで完全に再発を防ぐことはできなくても、頻度を抑える効果が期待出来ます。

尿路結石症は再発してしまう慢性疾患(完治することの出来ない長期に経過観察が必要な病気)です。栄養については栄養士によるアドバイスを、再発状況の定期チェックや再発予防の内服については医師による診察を行っています。詳しくは担当医にお尋ねください。

尿路結石症の緊急事態

尿路結石症は以下の緊急事態を引き起こすことがあります

  1. 尿管結石発作
  2. 結石性腎盂腎炎(けっせきせいじんうじんえん)
  3. 急性腎不全(きゅうせいじんふぜん)
  4. 尿閉(にょうへい)

①尿管結石発作

腎臓で出来た結石が尿管(腎臓と膀胱を繋ぐ管)に下降し詰まる事で、腎臓から膀胱への尿の流れが悪くなります。尿の流れが悪くなると行き場のなくなった尿が腎臓に溜まって腎臓が腫れます(水腎症)。腎臓を覆う膜が引き伸ばされる事で救急車を必要とする位の激痛が起きます。悪くなった尿の流れは一時的に解消されることが多く激痛は自然に治っていきますが、結石が尿管に残存している状態であれば発作は繰り返します。発作はご自宅で痛み止めで対応する事も出来ますが、痛み止めが効かない場合や頻繁な発作で日常生活に支障がある場合は入院を必要とする場合や手術治療を行う場合があります。
痛み止めは経口薬と坐薬がありますが、尿管結石による発作には坐薬が最も効果的であると言われています。

②結石性腎盂腎炎

尿路結石が邪魔をして流れが悪くなった尿の溜まりに細菌が感染してしまった状態です。尿の流れが良ければほとんどの場合抗生剤(細菌を退治する薬)治療だけで良くなりますが、尿の流れが悪い場合細菌が体外に排出されにくい状態になっているため治りにくいだけでなく、抗生剤治療を行っていても悪くなっていく可能性があります。細菌は数時間毎に増殖していくため時間単位で病状が変化していきます。尿の流れを良くする必要があると判断された場合は緊急的に手術によって細菌の増殖した尿を体外に出す工夫をします(※)。緊急時に結石を取り除く手術を実施するとかえって病状が悪くなり場合によって命に関わりますので、まずは尿の流れを整えて炎症が完全に抑え体調を整えた上で改めて結石を取り除く治療を行います。

③急性腎不全

以前の病気か生まれつき腎臓が片側しかない場合には尿管結石によって腎不全(体内で出来た毒素や吸収された不要な物質が腎臓で排出されず体に溜まってしまう状態)になってしまうことがあります。尿管結石は通常片側だけに起きますが、両側同時に尿管に結石が詰まってしまった場合にも同様です。結石の脇から尿がある程度排出されている場合は経過を見ることも出来ますが、いつ本格的に排出出来なくなるか予想出来ないため、緊急・準緊急的に手術(※)が必要となります。細菌感染がなく、身体的な状況が許せば結石を除去する手術を行うこともあります。

④尿閉

尿道に結石が詰まってしまうと膀胱から尿が出せなくなった状態(尿閉)になることがあります。通常7mmくらいまでの結石は排尿とともに比較的スムーズに膀胱から体外に排出されます。それ以上大きい結石の場合や尿道が通常より狭い場合、前立腺肥大症や糖尿病などが原因で膀胱の機能が落ちている場合などは尿閉になりやすい状態となります。尿道からカテーテルを挿入し膀胱に溜まった尿を排出します。緊急事態を回避した後結石を除去する手術を実施します。

緊急的に尿を体外に出す手術

1. 尿管ステント
尿道から内視鏡を入れ、膀胱の中にある尿管口(腎臓と膀胱を繋ぐ管の出口)から腎臓まで柔らかい針金を通します。針金をとしてストロー状の尿管ステントを呼ばれる器具を挿入し、腎臓から膀胱まで結石脇から尿をバイパスします。

2. 腎瘻
脇腹(背中側)から腎臓に細いチューブを差し入れます。チューブを通して体外に尿を排出するようにします。

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