診療内容
形成外科は、体の表面の外傷や腫瘍、先天的もしくは後天的な異常を、外科的な手技を用いて治療することを専門としています。
体の表面の異常においては機能的な側面のほかに、見た目の問題も非常に重要となってきます。
これまで形成外科が世の中に浸透してこなかった理由の一つに、「形態異常は疾患ではない」
という認識が世の中に根強くあることが挙げられますが、「形態異常」によって患者様は精神的に苦痛を伴っている方が多いものです。
形成外科は「精神外科」とも言われており、「形態異常」の治療により患者様は精神的苦痛が軽減し、前向きな気持ちになれると考えられます。
私たちは、患者様とのコミュニケーションを大事にし
患者様にとって最善の医療を提供してゆきたいと考えております。
何かお困りのことがありましたら、遠慮なくご相談ください。
取り扱う疾患
良性腫瘍 (粉瘤、色素性母斑、脂肪腫など)
1.粉瘤(ふんりゅう、アテローマ)
皮膚が皮下組織に入り込んで袋を作った腫瘍です。もっとも多く見られる腫瘍です。
皮膚成分であるため、垢(アカ)が袋の中に貯まりしばしば細菌感染を起こし、赤く腫れて痛く膿を持つようになります。
この状態(感染性粉瘤と呼んでいます)で受診されることも多く、切開して中の膿を出すことで症状は改善します。治療法は袋をすべて取り除く摘出術となりますが細菌感染が生じている時は手術を行わず、感染が充分落ち着いてからの手術となります。
2.色素性母斑(しきそせいぼはん)
母斑細胞の増殖による腫瘍で、小さなものは俗にいう「ホクロ」です。一般的には大小さまざまで平坦なものから盛り上がったもの、黒いものから茶色(褐色)のものまであります。生まれつきあるものから、あとで出現することもあります。
直径数㎜程度の小さなホクロではレーザーでホクロ全体を焼き取る方法や、メスを使ってくり抜く方法がありますが、数㎜以上の場合は紡錘形に切除して縫い合わせる方法が一般的です。ホクロの大きさにより様々な選択肢があります
皮下組織である脂肪を由来とした腫瘍です。
体表近くにできることが多いため一般的な皮下腫瘍に準じた手術方法となります。
ただし皮膚よりもずっと深い部分(場合によっては筋肉内)にできることもあり、その際は術前に充分な画像診断が必要となります。
腫瘍の大きさにしては症状が少ないため、切除を急ぐ必要はありませんが、腫瘍は少しずつ大きくなるため時期をみて摘出術を行います。
脂肪肉腫などの悪性腫瘍と間違えることもあり、注意が必要です。
4. その他の腫瘍
結合組織由来の腫瘍や神経系の腫瘍もあり、様々な形、症状、組織像を示す腫瘍が存在します。
当科ではCT、MRIまたは超音波検査を駆使して的確な腫瘍の術前診断を行い、最適な治療方法を提案しています。
顔面皮膚・軟部組織損傷 (がんめんひふ・なんぶそしきそんしょう)
小さな傷でも顔面に生じた傷跡は患者さんにとって気になるものです。このため、顔面外傷の患者さんに対しては、小さな傷でもできるだけ傷跡が残らないように縫合処置(真皮縫合)を行います。また、外傷によっては涙道損傷や、顔面神経麻痺など重要神経や器官の損傷を伴っている場合もありますので注意が必要です。
顔面や手足など体表における先天異常(合指症や耳介の変形など)の治療
1.埋没耳:耳と頭の間の溝がないため眼鏡をかけることができません。
2.耳(前)瘻孔
耳瘻孔とは、生まれつき耳の周囲に小さな穴が開いて、その下方に管(または袋状)があり、その管の先端は耳介軟骨で終わっているものを言います。これは耳を形成する時の異常により生じたものと言われており、耳の異常の中ではかなり頻度の高い疾患の1つです。
耳瘻孔から臭いのある分泌物が出てきたり、この小さい穴から細菌が入って感染を繰り返したりする場合もあります。
耳瘻孔を完全摘出することで諸症状は解消します。ごく稀に再発する場合もありますが、この場合は再手術が必要になります。
眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)
上まぶたが下がって見えにくくなる疾患です。
大きく分けて先天性(うまれつき)のもの、後天性(加齢やコンタクトレンズが原因)ものに分けられますが高齢人口の増加により加齢性眼瞼下垂(腱膜性眼瞼下垂)が増加しています。
まぶたを引き上げる眼瞼挙筋が加齢により弱り、これにつながる眼瞼挙筋腱膜が
まぶたの縁(瞼板)から外れてしまい力が伝わらないため、まぶたが開きにくい状態です。
高齢の方はまぶたの皮膚も下がっているので、これも切除します。
見た目のアンチエイジング効果も得られます。
シミ
多くは加齢性や紫外線暴露に伴うもので、その中でも高い頻度でみられる代表的なものは、老人性色素斑や肝斑です。
紫外線を浴びる、肌をこするなどの刺激によって、皮膚内部にあるメラノサイトという細胞が活性化し、シミのもととなるメラニンが過剰に作られます。通常であれば、肌のターンオーバーによって、メラニンは皮膚表面に押し出されて、垢(あか)と一緒にはがれ落ちますが、ターンオーバーが乱れると、メラニンは外に排出されず、皮膚内部に蓄積されて、他の部位よりも色が濃く見えてしまいます。
それぞれのシミによって治療方法は異なり、紫外線暴露が主な原因のシミは、ビタミン剤やトラネキサム酸の内服、ハイドロキノン配合の外用薬、UVケアが必要となってきます。当院ではレーザー治療も行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
形成外科では体表面を中心に幅広い領域をカバーしております。
体表面のことで「これってどこの科を受診すれば良いのだろう?」「こんなことで受診しても良いのかしら?」ということがあれば遠慮なさらずに、まずは形成外科を受診してご相談ください。