診療科の紹介
お腹の調子が悪いけれど、内科とか外科とか、どの診療科を受診したらいいかわからない。また、体の変調を言葉に表すのはとても難しい。なんだかお腹が痛い、便に血が混じる、気持ちが悪い、熱がある、顔色が黄色と言われた、どこがおかしいかは自分でもよくわからない。でも、心配だから、きちんと検査をしたい。早く治したい。こうした要望に対応するために、令和5年4月より消化器外科外来を開設しました。当院は地域密着の病院であり、病院の近くにお住いの方の身近な健康問題に対処するのが使命です。
腹部症状がある方の当院での診察は主に総合診療内科、消化器内科、内科担当医が対応していました。再診の方の間に診察しますので、外来で長時間お待たせすることもありました。消化器外科を開設して腹部症状のある方の迅速な診療をはじめました。もちろん消化器病疾患の診断や治療については最新の医療技術・診断機器を用いて、あらゆるニーズに応えられる治療を行っています。診断については消化器病学会研修病院、消化器内視鏡学会研修病院に指定されており、若手医師にたいする指導・研修を行っています。
消化器外科を開設して月曜日から金曜日までの日勤帯と火曜日・木曜日の夜間も緊急手術を行っています。2021年度は年間100例だった手術件数が2022年度は200例となりました。麻酔科、中央手術室の協力のもと緊急手術に対応できるようになりましたので、今年の手術件数は300例を見込んでいます。医療を提供するうえで病気を治すことが目標ですが、食事などの日常の生活が続けられるように看護師、管理栄養士、理学療法士、ソーシャルワーカーとともにチーム医療で支えることが最も大切であると考えています。
診察はこうして行います
病院の診察は10分間の予約制です。外科医の診察は素早く行われます。
1.はじめまして
初めての方は診察室に入ってくる様子から、どのような状態かを観察します。本人確認のために「お名前と生年月日を教えてください」と聞いてから、自己紹介をします。紹介の方は前もって必要な検査を指示し、説明文書など作っておきます。
2.今日、病院に来た理由は何でしょう
私たちの仕事は「傾聴する」ことです。あなたは「どこが悪くなっているか」を話すために病院に来ています。次に、「アレルギー」はありますか、「飲んでいる薬」はありますか。これまで治療した病気「既往歴」を聞きます。また、「最後の食事」をしたのはいつですか。最後に、原因と考えられる出来事「イベント」がありますかと尋ねます。
3.診察や検査を行います
あなたの体を探索します。お腹を診て、聴いて、触って確かめるのを身体所見といいます。おおよその問題を把握したら検査します。先ほどの「傾聴」と「探索」の要約を臨床診断としてまとめます。
4.病気の説明をします
この要約を使ってあなたに病気の説明をします。「悪くなっている」原因が診断できたでしょうか。あなたが納得できれば治療します。手術が必要な時は入院手続きをお願いします。外来で治療可能であれば薬を処方します。
5.手術や治療の説明をします
安全のために治療がうまくいく場合だけでなく、具合が悪くなるときの注意事項も説明します。また、外来で検査結果の説明や経過を聞くために次回の診療予約をします。
地域密着病院で治療する病気はさまざまです
私たちの病院は直接来院される方が多いので事前に診断ができている場合はほとんどありません。具合が悪いので「とにかく検査して病気を診てほしい」と受診されます。つまり、ありとあらゆる病気を診ることになります。実際に大学病院や診療拠点病院では通常みることのない病気が多々含まれています。この1年間で出会った病気を紹介しましょう。
1.30代男性
上腹部痛のため受診。胆石はないが、右わき腹が痛い。超音波検査で胆嚢捻転の診断。
●痛みが強いため、緊急手術で腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った。
2.80代男性
便秘のため受診。宿便とガスが大腸に多量に溜まっていた。CT検査で上行結腸・盲腸捻転の診断。
●自然にねじれが戻ることがないので摘便と浣腸のあと回盲部切除を行った。上行結腸は圧力のため裂けていた。
3.80代女性
嘔吐のため受診。血圧の薬を4剤も飲んでおり、ショック状態。動脈血ガス分析で血液がアルカリ性(pH7.6、正常は7.35~7.45)でカリウムが低下していた(2.1mEq/L、正常範囲は3.5~5.0)。
●嘔吐と脱水が原因であり、注射でカリウムの補正を開始した。また、カリウム製剤を内服した。嘔吐のために誤嚥性肺炎を併発した。
あなたの病気に寄り添う治療をおこないます
消化器は食道から胃腸、肝臓や胆嚢、膵臓までとても多くの臓器が含まれます。その分病気も多くありますから、手術の必要性があるかないかを消化器外科で初めに判断します。もちろん、急いで手術する必要がない場合も多くあります。その時には院内の消化器内科と相談しながら治療をすすめます。また、専門的な治療が必要と判断されれば特定機能病院や専門病院の受診をお願いしています。したがって、消化器外科での治療は手術が基本ですが、幅広く消化器病の治療を行います。また、多くの方は持病があるため「かかりつけの先生」と協力しながら持病の治療も併行して行います。
私たちの使命はあなたの病気に寄り添う治療を行うことです。